プログラミング教育が注目されるようになった理由
プログラミング教育が注目されるようになった理由は2つあります。
ひとつは急速にIT化が進む産業界やその他の分野において、IT技術を持つ人材が世界でも、日本国内でも不足するようになったこと。今後AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など、生活の場にもITが欠かせなくなる未来が予測されるにつれ、問題はかなり深刻であることもわかってきました。これまでの日本の教育が、ITスキルを持つ人材を育成するだけでなく、すべての人が今後自分の生活に必要なITを使いこなせるようになるために十分でないということも明らかになってきたからです。
もうひとつは、「複雑で激しく変化する社会を生きぬく力を身につけるために、“21世紀型能力”を学校教育で育成するべきだ」という提案があったことです。これは教育に関する研究や調査を行う文科省の関係機関である「国立教育政策研究所」が、2013年に発表しました。
“21世紀型能力”とは、21世紀を生き抜く力として、以下3つの力で構成される能力を指します。
①基礎力=従来の「読み・書き・計算」に準ずる能力で、言語・数・情報を目的に応じて使いこなす力
②思考力=基礎力をもとに問題を解決する力、あるいは新しいアイデアを生み出す力
③実践力=思考力を使って導き出した結論をもとに計画を立て、他者とコミュニケーションをとりながら実際の問題解決に取り組む力
この3つのなかでも、特にこれまでの日本の教育では十分に伸ばせていないと考えられたのが、思考力と実践力でした。そしてIT教育と21世紀型能力を効率的に、かつ子どもがやりがいを感じられる方法で解決できる手段として、プログラミング教育が注目されはじめたのです。